病棟から訪問看護へ転職したい、というご相談を受けることがあります。どんな求人がオススメですか?と聞かれることも多いですが、自分にとって最適な職場を見つけるためのファーストステップについてお話致します。

まずはこの自問自答を。
オススメの求人はなんですか?と問われたら、結論を言うと、こんな求人がオススメです!といきなり言えちゃうような普遍的な求人はありません。何をもってオススメかは、ご本人の話をよく聞かないとわかりませんし、実際に働いてみないとわからないからです。
(関連記事/転職で迷った時はこれ。ポジショニングマップで、自分の軸を整理。)
これで終わっちゃう前に、1つだけ自問自答してみてください。
「なぜ、自分は訪問看護をしたいのか?」と。
じっくりと考えてみてください。
答えがスッと出てくる人もいれば、なかなかうまく言葉に表せない人もいるかもしれません。(関連記事/
やりたいことがわからない、という看護師様へ。)
ちなみに、SHERPAにご相談いただく看護師様に話を聞くと、だいたい3パターンに分かれます。
1、訪問看護で独立したい。
2、夜勤がなく、土日なども休みながら家庭やプライベートと両立したい。
3、患者様の退院後の生活に関心があり、病棟の時よりももっと密に関わっていきたい。(関連記事/病棟看護師が、訪問看護士に変わる瞬間。)
ほぼ、上記の3つに分類にできます。
看護で起業したいという目標メインなのか、条件面がメインなのか、やりたい看護メインなのか。
あなたは、どこに当てはまりますか?
まず、
この自問自答によって、訪問看護ステーションの求人の見方が劇的に変わり、自分の考えを整理することができると思います。
独立したいなら。
もし、訪問看護で独立したいという方がいれば、どんな求人をリサーチされてますでしょうか?
このまま、独立したい!という方を前提にお話を進めますね。(2、3については後日)
条件面を重視されますか?
それとも通勤のしやすさ?
(関連記事/家から近い、を条件に求人を探す時の注意点。)
訪問エリアですか?
ステーションの雰囲気?
ここもどれが正解というのはありませんが、
個人的な意見をお伝えさせていただくとすれば、独立をしたくて訪問看護を希望されているなら、その訪問看護ステーションのフェーズに注目してみるのはいかがでしょうか?
フェーズとは、直訳すると段階・局面・時期。
例えば、立ち上げでまだまだ利用者も少ないフェーズにあるステーション。
ようやく軌道にのり、スタッフを増員したり、支店を増やそうとしているフェーズのステーション。
上場し、全国に拡大し、仕組み化されているフェーズのステーション。
上記いずれかのフェーズにありながら、事業の衰退や撤退あるいは、他事業への多角化などを構築中のフェーズ。
などなど、ステーションごとにフェーズがあり、そのフェーズの中でも浮き沈みの波があります。訪問看護ステーションのホームページを見たり、求人サイトを見たり、行政のサイトに載っている情報を確認することで、大体のフェーズ感は掴めるはずです。
では、
どのフェーズがオススメか。
ここで、もう一度、自問自答してください。
「いつ、どこで、どうやって訪問看護で独立したいのか」と。
とにかく全力で取り組む。
たとえば、立ち上げ段階のフェーズのステーションに行けば、色んな意味でおそらく一番大変です。
お金を払ってくれるお客さんの獲得から一生懸命しないといけませんので、訪問看護という本業そのものの時間というより、地域への営業活動や告知活動など、看護師さんがよく言う「これ、看護師の仕事ですか?」という類の仕事もたくさんあります。(笑)
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※2、夜勤がなく、土日なども休みながら家庭やプライベートと両立したい。というタイプの人が、求人票に記載の条件面だけを見て、立ち上げフェーズの訪問看護ステーションに就職すれば、トラブルが起こりやすいです。経営者や責任者は昼夜や休日関係なく、ビジネスのことを考えてますから、条件面を優先で仕事をしている人とは思考が違い、ベクトルの違いから摩擦が起こります。ベクトルが違ってもうまくマネジメントできれば問題ないのですが、そもそも思考回路が違うのです。
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こういった活動は、起業したタイミングでは外注しない限り避けては通れない道で、苦痛以外の何ものでもないですが、振り返ってみた時に一番貴重な体験だったと思うことの1つです。
人間でいうと、赤ちゃんが生まれて、ようやく歩き始めるまでの段階です。昼夜関係なくつきっきりになり、仕事の日とか休みの日とか関係ないぐらい、時間も体力も投資し、それでようやく立つことができる。
自分が独立起業した時には、この経験をすることになるわけですから、他人資本でこの経験を、給与ももらいながらノーリスクでできることは非常にありがたいことだと思います。自分が借金したりすることはないわけですからね。経営者の気持ちになったつもりで全力で仕事に打ち込むことができれば、いずれ独立することがわかっていても、経営者は応援してくれるのではないか、と思います。
もし、
立ち上げについては何の不安もなく、軌道に乗った後の拡大の方法や、人的管理について経験を積んでおきたいんだ、ということであれば上場している会社が母体となっているステーションがよいかと思います。(ただ、想像以上に大手企業の看板の強さ、資本の強さは、独立してから痛感することが多いと思いますが)
事業がそこまで拡大しているのであれば、専門的な強みであったり、多くのことが仕組み化されるなどノウハウがあるはずです。
さて、なんとなく自分の目標や起業のイメージと照らし合わせた時、どういったフェーズの訪問看護ステーションで勤務経験を積むのが良いか、少し形が見えてきたでしょうか?
さて、ここで次は私から質問です。
「ひょっとしたら、ついさっきまで訪問看護の求人の中で、勤務時間や休日数、基本給、賞与などの待遇面をメインに見ていたのではないでしょうか?」
もちろん
待遇面は大事です。
ただ、何か理由があり看護師になり、そこから更に、他の多くの看護師様と違って、訪問看護の世界へ飛び込み、独立までしようと考えているのであれば、待遇面よりももっと大事なモノを持っているはずです。(なぜか、訪問看護で独立したいという看護師様は、一般企業でお勤めされていて、そこから看護師になったというパターンの人が多いので共通点があるのだと思います。)
稼ぎたい!という気持ちは人一倍持っていると思いますが、たくさんの給与を貰いたいと思っているわけではないと思います。
何かを与えられたい、貰いたいというスタンスではなく、人に与えたい、影響力を持ちたい、発信したい。そういうベクトルの持ち主だと思います。(関連記事/資格に縛られすぎ?看護師以外にも道はたくさんある!)
自分でやりたいこと、叶えたいこと、問題解決したいこと、他の誰もができないことにチャレンジしたいこと。そういったことを実現するための原動力ほど大事なものはないと思いますから、どうか求人票に記載されている目先の数字だけでジャッジせず、一歩を踏み出してほしいと思います。
そして、最後の決め手となるのは、やはり訪問看護ステーションの責任者や経営者の考え方、方針などがマッチするかどうか、共感できるかどうかでしょう。(関連記事/働き方の価値観について。)
そればかりは、直接話をしてみるしかありませんので、そういった求人を探すお手伝いができれば幸いです。
これから訪問看護の世界へ、、ということなら是非SHERPAへご相談ください。
≪今回のコラム寄稿者≫
YU/SHERPA代表コンサルタント
自動車、IT、美容、金融業界のマーケティングに
精通し、29歳で医療系人材業界へ。その後、独立。
戦略的な提案で法人と個人から信頼を得る、
日本でもレアなMBA/FP保有キャリアアドバイザー。
一男一女を持ち、学生から既婚者の悩みに
共感できる、パンケーキ好きのアラフォー。