エージェントを使って転職や就職をする。ということは、珍しいことではなくなってきてますので、ほんのりでも参考にしていただけますと幸いです。今回、けっこう長いですよ。割と真面目に書きました。
情報の非対称性。
転職でも、生命保険でも、マイホーム購入でも、中古車購入でも、雨漏り修理でも、買い手と売り手には
情報の非対称性が存在します。
動く金額が大きかったり、買い手の購入機会が少ないほど、その情報の非対称性は大きく、それゆえに買い手の方は相当なコストを払うことになります。何がなんでも失敗は避けたいし、騙されたくないと思って、複数の会社から相見積もりを取って比較しますし、口コミサイトを見て新たな情報を探そうとします。神経も、時間も、たくさん使うわけですね。
(関連記事/求人情報において、ネットでの口コミ情報は信じていいの?)
転職を考える人が、転職サイトに登録し、エージェントに相談する理由としては、情報の非対称性を克服し、転職という人生における大事なイベントで失敗したくないから、、、という人も多いからではないでしょうか。
もちろん、求人情報に関する情報の非対称性の克服も重要ですが、履歴書の書き方、志望動機の伝え方、面接対策、面接の設定、現職の退職交渉ナドナド。この辺りにも、転職に慣れていない人にとっては、厄介な問題ですよね。
そう。転職というのは、経験したことがある人ならわかるかと思いますが、なかなかに面倒クサイことでもあります。
でも、
転職エージェントに相談する!となっても、最初にぶつかるのが、情報の非対称性です。
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そもそも・・・
この紹介会社は信頼できるのか?
この担当エージェントは業界や求人に詳しいのか?
目先の売上のために騙してこないか?
自分のことを理解してくれたうえで最適な求人を紹介してくれるのか?
紹介したあとフォローもしてくれるのか?
転職エージェントに相談することで、むしろ失敗するリスク上がるんじゃないの?
とか。
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エージェントを選ぶのにも情報の非対称性が大きく存在するからこそ、いろんな転職サイトに登録し、いろんなエージェントに相談をしている求職者様も多いかと思います。
ましてや、その情報の非対称性を利用して、2-3社の転職サイトに登録しましょう!なんて親切に煽ってくるアフィリエイトまで存在しますから。
(関連記事/乱立する看護師の転職サイト。ところで、看護師の転職サイトはどこまでアテにできるの?)
もう、ますます混沌ですよね。どうしていいかわからない。
さて、前置きは完了です。ここから本題ですよ。
では、
どうやってこのカオスな状態から信頼できるエージェントを見分けるのでしょう?
(そもそもエージェントに相談して転職したい!ということであればね。)
質問をすればわかる。
エージェントにとっては転職サポートは日常的なものですが、求職者様にとっては、転職や就職はひょっとしたら人生で1回きりかもしれない非日常的なものです。
場数も違いますし、
情報の非対称性があって当然。
なので、
転職や就職において不安に感じていることや、不明点があれば、是非エージェントに質問してください。
この時、
注目して欲しいのが、質問に対するエージェントの答えです。
本当に納得できるものか。分かりやすいか。
腑に落ちるか。第三者にも説明できるか。
最終的には、"
その情報によってご本人ができる限り不安をなくした状態で、自分自身で意思決定をすることが可能かどうか"が重要だと思います。
1つ例を出してみましょう。たとえば、こんな質問のケースはどうでしょうか?
『この求人だと、どれぐらい残業ってありますか?』
テキトーなエージェントだと、『残業はかなり少ない方ですよ』と、曖昧な回答が返ってくることも多いはずです。
そして『あー、残業はほとんどないんだ!』と解釈しているようではキケンな状態です。
そもそも
大事なことって、"残業に関してどういった情報を知ることができれば、求職者様が抱える不安や問題を解消し、正しく意思決定しやすくなるだろうか?"とエージェント自身が気付くことだと思います。
たとえば、先ほどの質問をママさんナースがしているのあれば、保育園に預けている子どもの迎えの時間に間に合うかどうかを気にされているかもしれません。
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他にお迎えに行ける家族はいるのだろうか?
延長保育は利用できる園なのだろうか?
そもそもお母さんは延長保育を利用したいのだろうか?
何時までに保育園に行けば間に合うのか?
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そう。『どれぐらい残業って、ありますか?』っていう1つの質問には、様々な背景や事情があるかもしれないのです。
だとすると、『残業はほとんどない』という聞こえのいい曖昧な回答のみではなく、子どもの保育園の送迎に基準を置いた観点から回答があれば、ご本人にとっても、より良い意思決定ができるのではないでしょうか?
都合のいいことばかりお伝えするのではなく、求職者様にとってはデメリットやリスクとなるような情報についてもしっかりと共有することが大切ですよね。
では、先ほどの質問にはどのような情報があれば、意思決定しやすいでしょうか?
例えば、こんな感じ??
『残業は状況によって出てしまう時もあるようです。ただし、出るとしても30分程度の残業が多いようで、1ヶ月の合計で2時間程度。概ね週に1回の頻度で30分程度の残業が出てるのが現状です。仮にそのような残業のレベルであれば、お子様の保育園の迎えについては、ご家族のサポートもしくは、延長保育を利用するなど、両立はしていけそうでしょうか?』とか。
もし、ママさんナースでお子様を保育園に預けながら勤務したいと考える人で、迎えを気にして残業のことをご質問していただいているのだとしたら、どちらの方が回答として、意思決定しやすいでしょうか?
もしも、アナタにとっては大事な質問をしているのに、その質問に対する回答が『ん?今のよくわからないな?まだ全然イメージできないな』という内容だったとしたら、、、、
そんな風に不安に思っていたり、不明なことがクリアにならない状態なのに、『とりあえず面接に行きましょう!ここがアナタにとってオススメの求人ですよ!』と、セミクロージングをしてくるエージェントは要注意かもしれません。
信頼できる人とは?
さて、冒頭にもお伝えしてますが、
転職エージェントを選ぶ際にも情報の非対称性があって、どのエージェントが自分にとって良いか。なんてのを見分けるのは、実はなかなか難しいのが現実です。
なので最後に、こういった選び方は気をつけてね、、というお話を。
私自身も身をもって経験しておりますが、
「良い人そう」「誠実そう」「波長が合う」これで相手を信頼するのは、かなーりキケンです。大事なことなので、もう一回お伝えします。かなーりキケンですよ。
なぜかと言うと、
粗利の高いビジネスモデルで仕事をしている人間ほど、コミュ力は基本的に高いので、売上のためだったら、「良い人そう」「誠実そう」「波長が合う」と相手に印象づけるぐらいのtuningはいくらでも可能だからです。要するに、印象なんて演技でなんとでもなるんですよ。営業のためにそういった研修も受けてる人ばっかりなんですから。
恋愛でもよく聞きませんか?
良い人と思って、付き合ってみたら既婚者だった。。すでに相手がいた。なんてこと。それ、都合がいいように印象であったり、関係性をtuningされてたってことですよね。
実は、私も何度もビジネスで痛い経験をしています。きっと他のビジネスマンも失敗している人は多いはず。
『買うまでは良い担当者だと思っていたのに・・・』
『契約するまではレスポンスも早かったのに。契約後はフォローもいい加減だ・・』と。
「良い人だと思った」「誠実そうだった」「波長が合う」「なんとなく信頼できそうだ」
私自身もそれで契約して、ウン十万円・ウン百万円も損をしています。何度も苦い汁を飲まされかけてきましたし、何度かゴックンしてしまっています。(笑)
そういった経験から学んだことは、
自分のわからないことを質問した時に、噛み砕いて教えてくれて、情報の非対称性をなくし、最終的には自分自身で意思決定できるようサポートしてくれる人。
これがプロだと思いますし、信頼できる人だと、個人的には思っています。(もちろん、いろんな意見あると思いますけどね。。)
その信頼の向こう側に、やっぱりこの人に仕事をお願いしたい!という気持ちが出てくるのではないでしょうか。
(関連記事/信頼できるキャリアアドバイザーは、あなたの隣にいますか?)
そして、そこまで信頼関係があるからこそ、"迷った時に背中を押せる"ことが成立するのではないでしょうか?
信頼関係もないのに、背中を押しまくるのはただの押し売りですよ(笑)
転職や就職は人生を左右するかもしれない大きな瞬間です。(関連記事/転職は慎重に。人生には尊厳を。)
エージェントに相談するのであれば、信頼できるかどうかは、しっかりと見極めてくださいね。
あ。そうそう。
最後にもう1回お伝えしておきますが、
大前提としてエージェントを使わなくても転職は十分可能です。
自分自身が、正しい意思決定をするためにはエージェントに介入してもらいたい!ということであれば、信頼できるエージェントに依頼すればいいのかな、、と思います。
≪今回のコラム寄稿者≫
YU/SHERPA代表コンサルタント
自動車、IT、美容、金融業界のマーケティングに
精通し、29歳で医療系人材業界へ。その後、独立。
戦略的な提案で法人と個人から信頼を得る、
日本でもレアなMBA/FP保有キャリアアドバイザー。
一男一女を持ち、学生から既婚者の悩みに
共感できる、パンケーキ好きのアラフォー。