履歴書などの応募書類を作成するときに、「在籍期間の短った会社を省きたい」「アルバイトで勤務していたところは省いてもいいんじゃないか?」こんな相談を受けることもあるのですが、これは経歴詐称に該当しないのでしょうか?顧問弁護士に聞いてみたので、そちらを共有いたします。

正社員については基本書く!
正社員で勤務していた場合については、たとえ在職期間が短かったしても、記載しないといけないというのが顧問弁護士さんからの回答でした。
(関連記事/早期離職についても、履歴書に記入しないといけませんか?)
在職期間が短ったら、書きたくないという気持ちもわかりますが、
なぜ短い期間で離職してしまったのか。そのミスマッチはなぜ起こったのか。それが自社の採否にどういった影響を及ぼすのか。雇用契約を締結する前の重要な意思決定に重要な情報になりうるので、書いた方が良いということです。
書かなくてあとあとバレてしまったらどうなるか?という質問もけっこう多いので、そちらも確認しております。
バレて、即刻懲戒解雇とかなることは現実的には少ないかもしれませんが、書かなかった理由を確認されたり、書かなかったことが会社にとって不利益を被るような内容だとしたら処分の対象になる可能性はあるとのこと。
どういったケースがあるかと言いますと、例えばライバル会社に在籍していた場合とかですね。あとは、会社が特定の取引関係などにあって当該人物を採用することで引き抜きと思われる可能性があるとか。
なかなか応募者にはその辺の感覚ってわからないと思いますが、企業はそんなことも考えながら履歴書に書かれていること(あるいは書かれていないことも含めて)評価しているんだと思っていただければ幸いです。
バイトは書かなくてもいいの?
これはケースバイケースになります。
一般的には正社員は書く。アルバイトは書かなくていい。という理解になっているかと思いますが、ここはグレーゾーンとのことです。というより、
法的には履歴書に何を書いて、何を書かなくていい、という明確な基準はありません。(関連記事/不採用になる履歴書の中身。)
大事なことは、"採用する側にとって採否という重要な意思決定を行ううえで大事と思われる情報を記載しているかどうか"。これは今回のテーマの中で、顧問弁護士さんからいただいた最大の論点です。
極端な例え話ですが、振り込め詐偽の受け子のバイトを2年やってました!となればどうでしょう?そういった詐偽のバイトを2年もやって他人を騙し続けてきた人を採用したいと思いますか?まあ、一般的な感覚であれば、そういった人は採用は見送りたいと思うでしょうね。まあ、2年というか2日でもアウトですよね。
これで思い出すケースは、日本テレビのアナウンサー内定取り消しの訴訟です。(詳しくは割愛します)
アナウンサー試験で内定が出た後に、『実は、母親が経営していたクラブで短期間アルバイトをしていたのですが』と会社に報告をし、それがキッカケとなり、内定が取り消し。「アナウンサーに求められる清廉生にふさわしくない」という理由での内定取消しだったようですが、労働契約上の地位(有効性)を求めて、訴訟する、という有名なケースがありました。
結果、日本テレビ側が折れて、内定取り消し自体を取り消し、入社するというドタバタ劇に。
しかし、これが内定を出す前の採用試験中にわかったことだったら?
おそらく内定は出ていなかったかもしれません。企業によっては、こんな人材を採用したいというイメージだったり、採用基準を持つことは自由であり、それが内定を出す前だったり、雇用契約を締結する前でしたら、特段問題はないのです。(まあ、後出しジャンケンしてくるマインドが社内NGになって、清廉生がどうのうこうのという建前での内定取り消しになった可能性もあるかもしれませんが)
企業が内定を出す!とか、雇用契約を結ぶ!というのは、法的にはとても重たいことで簡単にはひっくり返ることがなく、労働者にとって極めて有利になっているのが現状です。だからこそ、内定を出す前や契約を結ぶ前は、慎重になっていろんなことを確認したくなるのです。
経歴詐称の可能性がある求職者へのサポートについて。
『履歴書にこの会社のことは書かなくいいですよね?』というような相談は弊社にも、時々あります。
ただ、
それが法人にとって採否の意思決定をするうえで重要な影響を及ぼすことが可能性としては高い、という内容の方が多い印象です。(全然書かなくていい時もあるので、その時は書かなくていいですよ!と言いますけども)
だって、その可能性が高いことが求職者様も気付いてるから隠したくなるんですよね?
自分にとって不利な状況になることがわかるから意図的に隠し、それを正当化しようとしている場合が多いのです。
SHERPAでは、
求職者様にとって求人情報の良い部分も悪い部分も、できるだけご本人に正確に共有し、情報の非対称性を少なくし、より良い意思決定ができるように心がけています。人生にとって、転職とは、非常に大事な瞬間だから。
でも、
法人様にも同じような気持ちを持っています。採用するのか、不採用にするのか。経営において、採用活動は極めて重要な意思決定の瞬間です。採用する人材によって会社は劇的に成長するかもしれないし、停滞するかもしれない。そういった大事な瞬間に携わっているという責任や覚悟をもって仲介をしているつもりです。
なので、経歴詐称に該当する可能性があると判断した場合については、求職者様に顧問弁護士に確認のもと相談・指導をさせていただいております。
(関連記事/求職者と法人、どっちが大事?)
そのうえで、経歴詐称を行なったうえで、面接に進みたいということであれば、サポートについては停止させていただき、ご本人の自己責任のもと自己応募していただく形となります。(たぶん、他の紹介会社さんだともっとユルユルだと思いますが・・・でもそこは目を瞑れない性格なもんで)
さて、いかがでしたでしょうか?
応募書類作成において、経歴詐称に該当するかどうか、心当たりがある人は、一度立ち止まって考えてみてください。
(関連記事/信頼できるキャリアアドバイザーは、あなたの隣にいますか?)
キャリアのこと、書類作成のことでお悩みであればお気軽にSHERPAまでご相談ください。
≪今回のコラム寄稿者≫
YU/SHERPA代表コンサルタント
自動車、IT、美容、金融業界のマーケティングに
精通し、29歳で医療系人材業界へ。その後、独立。
戦略的な提案で法人と個人から信頼を得る、
日本でもレアなMBA/FP保有キャリアアドバイザー。
一男一女を持ち、学生から既婚者の悩みに
共感できる、パンケーキ好きのアラフォー。
お仕事のことでお悩みの看護師さん、
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