お礼奉公って特殊ですよね。特に看護業界にまだまだ残っている慣習でメリットもあればデメリットもあります。お礼奉公が終わった看護師様からの転職相談も多いのですが、次の転職で気をつけてほしい点についてシェアできればと思います。

お礼奉公が終わると・・・
「指定の病院に入職して3年間勤務すれば、奨学金の返済を免除する」
一言で言っちゃうと、お礼奉公って、こんな感じですよね。
数百万円の学費を、3年ぐらい勤務すれば全部チャラにしてくれる。一般企業ではほとんど行われていない特殊なシステムです。
このお礼奉公を利用して就職されている看護師様も非常に多いのですが、デメリットがあります。
それは、
3年のお礼奉公の期間が終わると、ほぼ半数以上の看護師様がその病院を退職するということです。※残念ながら、色々とキツすぎて1年目で辞めてしまう人も多いですが。
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病院で3年働いて、しっかりと経験を積む!ということが第一義的ではなくて、3年勤務してお礼奉公を免除してもらうことが第一義的な働き方になってしまい、モチベーションも3年がマックスになるんですよね。
(関連記事/『転職してよかった』と言ってもらえた2年目看護師様の事例。)
弊社にも、お礼奉公が終わったばかりの4年目の看護師様や、5年目の看護師様からの転職相談は割合としても多いのですが、皆さん刑期を終えた囚人のごとく開放感を語る方が多い印象です。(笑)
次の転職で気を付けてほしいこと。
お礼奉公を終えた看護師さんが次の転職でご希望される働き方も、基本的には偏ります。
もっとバリバリを働きたい!って言う人は実は少なくて、忙しかったのでペースを落としたい、もう少しでリーダーを任されるところだったので教育係などにはつきたくない。そういったネガティブなことをおっしゃる方が多いです。
最も多いネガティブな退職理由は、「2-3歳上ぐらいの先輩がまったくいない」というものです。ちょうどアラサー世代の看護師さんのことです。この世代は結婚や出産などでどの病院も手薄になりがちではありますが、お礼奉公を導入している病院には特に顕著です。
まあ、お礼奉公やってると4年目にほとんどの看護師さん退職するんですもん。仕方ないですよね。(逆を言えば、3年以内にはよほどのことがない限り辞めないので、離職率が低くなり定着率がすごくいい病院に見えます)
少し年上の先輩がいなくて、40代前後の師長まで中間がスカスカになり、1-2年目の若手が中心となり現場で動き回っているが、わからないことだらけ、、、って状況のようです。
さて、そういった看護師さんが別の病院へ転職するとしたら、どんなことを希望されるのでしょうか?
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当然、1列目に以下のことが希望として偏ります。
・忙しくないところ
・教育係などしなくていいところ
・2-3歳年上の先輩がいてるところ
次に2列目として、以下のことを希望されることが多いです。
・まだ慢性期は嫌
・電子カルテがいい
・年収が高いところ
・休みが多いところ
まさに、新卒の看護学生さんが希望するようなピカピカの病院を希望することが多いんですよね。
しかし、新卒の学生さんが希望しそうな病院は、お礼奉公を導入しているところが多いです。
すなわち、4年目・5年目の看護師さんが少ない可能性が高いわけですが、どうしましょう??
退職理由をしっかりと理解する。
自分が病院を辞めた理由をハッキリと理解しないまま、次の病院のこともしっかりと調べず、表面上の条件面やホームページのイメージだけで決めてしまうと同じ轍を踏むことになります。
思っていたのと違う。聞いていたのと違う。
そうやって初めての転職で、防げたはずの状況を後になって気付く方が本当に多いのです。
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・他の転職サイトに登録したら早く面接に行った方がいいと言われたので決めてしまった。
・紹介会社のエージェントに残業もないし、人間関係もいいと言われたが、全く違っていた。
(関連記事/転職サイトに複数登録する場合のメリット・デメリットは?)
・同年代の人が活躍中と言われたが、かなり年上ばっかりで気まずかった。
などなど。
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キリがないぐらい同じようなことを聞くことが多いです。
お礼奉公が終わって転職する際は、次の転職先となる病院がお礼奉公を導入しているかどうかは、是非確認しておきましょう。
それがわかればすべてOKというわけでもないですが、大まかな構造についてはイメージがつくはずです。
苦労して勉強して入った看護学校。
何度もくじけそうになりながら、くぐり抜けてきた実習と国家試験。
初めての就職をして3年間も仕事を頑張ったわけです。
そこからの初めての転職は、大切な人生のターニングポイントになるかもしれません。(関連記事/もっと素晴らしいはずの自分を探すための転職。)
安直に決めず、しっかりと考えて決断するようにしていただればと思います。
≪今回のコラム寄稿者≫
YU/SHERPA代表コンサルタント
自動車、IT、美容、金融業界のマーケティングに
精通し、29歳で医療系人材業界へ。その後、独立。
戦略的な提案で法人と個人から信頼を得る、
日本でもレアなMBA/FP保有キャリアアドバイザー。
一男一女を持ち、学生から既婚者の悩みに
共感できる、パンケーキ好きのアラフォー。