今回の転職の軸はなんですか?と聞かれて、サッと答えることができる方は、案外少ないものです。心の中にある悩みごとや、モヤモヤを言語化して、目指す方向の座標作りをするわけですから、難しいんですよね。でも、ケースで考えるとシンプルなこともあります。今回はそんなお話です。

軸がないから提案ができない?
以前、弊社にご相談いただいた保育士様のケースです。
(保育士様の転職相談はコチラ)
40代の保育士様で、経験も豊富。主任の経験などもされており、長年お勤めされていた園では、園長の右腕のような存在で、バリバリと活躍されていたとのこと。ただ、ある時から園長との関係が悪化し、主任というポジションからも降格に。肩身の狭い思いを抱えながらも、慕ってくれる現場の先生や、可愛い園児たちのためにと思ってそれでも頑張っていたそうですが、今後どうしていこうかと悩んでおられたそうです。
担当していたのは以前に弊社に在籍してくれていた元社員ですが、『今回の転職で年収だったり、アクセスだったり、ご希望はありますか?』とご本人のお気持ちを聞いてくれたようです。
すると、ご本人は、『なんでもいいです。年収が下がってもいいし。転居してもいいので、必要としてくれるとことならどこでも頑張ります』と、そう仰ったようです。
この時、元社員は、転職の軸が決まっていないと思ったようです。
年収だったり、家からのアクセスだったり、年間休日だったり、そういった求人の条件面においてご本人がどういった希望を持っているのか。それを聞くことで、合致する条件の求人を紹介していこうと考えていたようです。
ただ、ご本人からはそんな条件面についてはほとんど希望がない。なので、転職軸が決まっていないと判断し、『具体的な求人については提案が難しいですね、、』とお伝えし、最初の面談を終えて解散しました・・・
と、面談直後に報告があったのです。
私はすぐに元社員に電話をし、軸についての持論を伝えました。(この時の、転職軸についての自分の指導が適切だったのか、正解だったのかは未だにわかりません。元社員も面談の場では一生懸命考えうえでの結論だったでしょうし、その場にいなかった自分の考えが間違っているかもしれません)
今回の保育士様の場合、長年一緒にやってきた園長先生から必要とされなくなったこと。ここが一番の転職理由なわけです。なぜ必要とされなくなったのか、真相まではわかりませんが、もし転職するとしたら、そんなご本人の状況だったり、これまでの経験もすべて買ってくれて、うちの園に来てくれないか?自分のことを助けてくれないか?そう心から欲してくれる園長先生の存在じゃないか?これこそが転職の軸なんじゃないか、と思い、すぐにご本人に連絡をもらい転職軸についての確認を行ってもらいました。
言い換えると、
承認欲求です。
自分のことを必要としてくれるか。自分の居場所があると感じれるかどうか。自分が誰か他人の役に立てていると思えるかどうか。
保育士様に限らず、どんな仕事をしている人でも非常に大事なことだと思います。今回の保育士様については、特にこの部分が大事になってくると判断したのです。
その後、必要としてくれる園長先生をご紹介させていただき、無事に管理職のポジションで転職が決まり、バリバリとご勤務いただいております。
時間とお金どっち?
PTをやっている友人から、転職相談がありました。
実は、3社から内定出ているけど、どうしようか迷っていると。内定が出ている中から決めるのか、そもそも違うところにするのか。
(関連記事/複数内定が出て迷っています。どうやって決めるべきでしょうか?)
何を迷っているのか?
今回の転職において、何を大事にしているのか?
そういった本質的な部分を聞かせてもらうと、大事にしているのは
年収であるということがわかりました。
現職でも、知り合いのクリニックの先生から引き抜きされて、相場よりもかなり高い給与をもらっていたと、でも、辞める理由はその院長のパワハラが強烈で、職員の離職率が半端なくて、長く仕事していくことが難しいと思っているということでした。
内定が出ている3社の給与面を確認すると、バラツキはあるものも、どれでも大阪府内の理学療法士の平均年収よりも高かったのです。しっかりと市場の相場感を本人にも細かいデータで共有し、3社のどこに行っても給与については水準以上であることをまず理解してもらいました。
それと、PTの彼は、20代の頃に結婚をして、子どももいますが、離婚してます。しばらく独身でしたが、30代半ばに差し掛かった、つい最近になり、再婚して、子どももできた。
新しい家族との時間を大切にしたい。これも非常に大事な転職軸として存在していました。
3社の中で、家族との時間を最も大切にできそうな職場はどこだろうか?
結果的に、年間休日の数や、残業の程度、職場の状況、諸々を考慮し、最も家庭とバランスが取れるところを最終的に決めたようです。
3社の中では、年収が最も低いところです。でも、納得感のいく決断になったと喜んでいただきました。
あなたの転職の軸は?
転職の軸って、本当に十人十色です。
転職サイトを見ていると、どうしても月給がどれぐらいか?賞与が何ヶ月分あるか?年間休日がどれぐらいか?こういった条件面ばかりを見てしまいがちになります。
(関連記事/看護師の転職サイトにおける、おとり広告、ダミー求人について一言、二言。)
もし、そのような転職活動で自分のやりたいことや、本心がわからずに行き詰まってしまったら一度立ち止まって見ることもアリだと思います。
(関連記事/やりたいことがわからない、という看護師様へ。)
すぐに求人の給与や休日数、福利厚生といった雇用条件ばかりを見るのではなく、自分が以前の仕事を続けることができなかった理由、また仕事にやりがいを感じることができた瞬間など、自分が幸せなキャリアを築いていくための仮説を考えてみてください。
できるだけ明るい未来をイメージし、できるだけなりたい自分をイメージしてください。きっと、そこに届くはずです。(関連記事/もっと素晴らしいはずの自分を探すための転職。)
少しでも、そうなれるようお手伝いができれば嬉しいと思っています。
SHERPAまで、お気軽にご相談ください。
≪今回のコラム寄稿者≫
YU/SHERPA代表コンサルタント
自動車、IT、美容、金融業界のマーケティングに
精通し、29歳で医療系人材業界へ。その後、独立。
戦略的な提案で法人と個人から信頼を得る、
日本でもレアなMBA/FP保有キャリアアドバイザー。
一男一女を持ち、学生から既婚者の悩みに
共感できる、パンケーキ好きのアラフォー。
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