労働基準法では2週間前までに退職届を出せば大丈夫と聞いたことがあるけど、職場の就業規則や雇用契約書では6ヶ月前に申請しないといけないとあって、どっちが優先されるの?なんてことがあるかと思います。社会保険労務士として、お答えできることは・・・
労働基準法は強行法規
労働基準法とは、労働者の労働条件の最低基準を定めた法律で強行法規です。(参考/厚生労働省 労働基準法に関するQ&A)
強行法規とは、当事者同士が同意しても適用され、基準を下回ることはできないことを意味しています。例えば、『社員が残業代は要らないと言ったから払っていません』は通用しないという話がありますが、それは労働基準法が強行法規だからです。
就業規則とは、複数の労働者と会社の間の統一的なルールとイメージしてもらえれば分かりやすいと思います。
法の範囲内で就業規則は機能する。
仮に、
就業規則の記載部分で労働基準法を下回る内容の記載があった場合、その部分が無効となり、法令が優先されます。
(例:正社員が入社6ヶ月後に5日の有給休暇が付与される→10日付与される)
逆に、
労働基準法を上回るルールが就業規則で定められていた場合、その就業規則が適用となります。
(例:正社員が入社後6ヶ月後に20日の有給休暇が付与される→労働基準法を理由に10日に引き下げはNG)
労働基準法では、年次有給休暇について定めていますが、バースデイ休暇まで取らせないといけないという決まりはありません。ただし、就業規則に記載し、会社と従業員が約束した以上、誕生日を迎えた人が3ヶ月以内にバースデイ休暇の取得を希望したら、会社は拒むことはできないのです。
労働基準法では、
「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」
そして、
「労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。」
※だからこそ、就業規則の作成は慎重に行う必要があります。
円満を目指しつつ。
現実的には、この事だけが原因で労働基準監督署への通報、あるいは訴訟発展する可能性は低いと思います。
ただ、就業規則は、病院と従業員との「お互いの約束事」なのに、「患者さんの命を預かっているのだから、〇〇でなければならない」と言っておきながら、「就業規則には書いてはあるけど、現場の状況もわかってくれ!」なんて職場とは信頼関係も築けません。
「できない事を就業規則に盛り込んで。あとでごまかすのではなく、スタッフ一人ひとりのスキルアップと定着率を増やして、年次有給休暇の取得率を上げていくことからはじめよう!」と努力する病院の方が将来性を感じます。
SHERPAでは、一人でも多くの看護師さん、一人でも多くの医療従事者が、将来性のある病院で活躍してほしいと願い、日々活動しております。
(関連記事/なぜ、看護師はわざわざ転職サイトを使って転職するの?)
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≪今回のコラム寄稿者≫
三原健嗣/社会保険労務士
社会福祉法人での人事経験をもち、事業主&労働者の双方の気持ちが理解できる社会保険労務士。
就業規則作成、役員給与見直しにおけるコスト削減、給与計算、社会保険加入手続き等、
守備範囲は広い。事業主の状況を正確に見極めたうえでの、助成金活用の提案も評判。
サーフィン、銭湯で時々息抜きをする二児のパパ。
江坂駅前徒歩5分、みはら社会保険労務士事務所
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