訪問看護の移動手段ってどんなイメージですか?これ、5年前とか10年前に質問するのと、現在では大きく答えが変わってくるのかなと思います。それぐらい、ここ数年で訪問手段が大きく変わっているのです。もちろん、いい意味で。
ひと昔前の訪問手段。
ほとんどのステーションで、自転車・原付バイク・車。この3つのどれかが移動手段だったはずです。
訪問エリアによって、広い範囲までカバーしているステーションの場合は、車で移動しないといけないでしょうし、狭いエリアの中で集中的に訪問を行なっているステーションの場合は、自転車が多いはず。
ちょうど中間距離にあたるようなエリアを原付バイクでカバーする、、といったイメージでしょうか。
なので求人情報などを見ていても、車の免許持ってないとその時点でアウト!とか、免許は持っていてもペーパードライバーだったら講習から行ってもらって運転できるようになってもらうとか。
原付だったら、『最初は怖いけどみんなバイクで行ってるし、慣れたら楽だから!!』と言われ、乗る練習から始めたり。まあ、普段は車に乗っている、、という人からすると、原付バイクは結構怖いと思います。
自転車で行ける範囲は近いけど、やっぱり坂だったり、雨だったりで、天候や走路条件に悩まされ、利用者様の家に着くまでにヘトヘトになる。。
訪問看護という本質的なサービス提供の前段階で、移動手段で億劫な思いをしたり、体力的にきつい思いをすることが多かったのが訪問看護ステーション。もう、あるあるですね。
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ところが、ここ数年はガラッと状況が変わってきています。
電動自転車の登場。
もう、皆さんの家庭にも一台はあるのではないでしょうか。
電動自転車です。
バッテリーを充電し、自転車に搭載することで、スイスイ走りますよね。個人的には、数える程度しか乗ったことないですが、電動自転車に乗った人に簡単に追い抜かされることが増え、老いを感じる今日この頃です。(購入検討したことはありますが、大腿四頭筋とハムストリングスの機能低下が起こりやすいと感じたので、購入しませんでした。PTみたい?笑)
おそらく、電動自転車のポジショニングは、自転車と原付バイクの中間でしょうね。
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原付バイクに怖くて乗れなかった人。免許がなくて乗れなかった人。そういった人でも電動自転車では恐怖感をそこまで持つことなく乗ることができますので、障壁が低いはずです。
これまで自転車で行ってたエリアにはもっと楽に早く行けますし、原付バイクで行ってたエリアにも、少しだけ時間を要すかもしれませんが、より安全に到着することが可能になります。
実は、この安全面が採用についても大きく影響しているそう。
実は、これまで訪問看護ステーションでの事故として多かったのは、原付バイクでスタッフが移動中の事故のようで、これが電動自転車に変わることにより、大幅に事故が減っていると、あちこちで聞きます。
また事故だけではなく、違反も。
30キロしか出しちゃいけない原付バイクだと、ついついスピード出してしまったり、標識を見誤って曲がっちゃいけないところで曲がった、一旦停止で止まらなかった、信号を際どいタイミングで無視しちゃった。こういった道交法との戦いが、訪問中にあるんですよね。
そういった原付を乗る、ということに対するストレスで、採用や雇用にマイナスの影響があったと、多くの管理者様から直接聞きました。実際、転職をご希望される看護師様においても、原付が苦手!はいっぱい聞きましたが、原付が一番得意!はほぼ皆無です。笑
電動自転車だったら、移動中のリスクやストレスが皆無になるのかとなれば、決してそうではありませんが、かなり軽減されるはず。
コスト優位。
実際に、原付バイクと自転車が、まとめて電動自転車に置き換えられることになり、購入コストも低くなったこと。これは、訪問看護ステーションだけではなく、一般家庭でも言えることで、原付バイクの新車販売台数はどんどん右肩下がりになる一方、電動自転車の販売台数は右肩上がりです
(参照/経済産業省 電動アシスト車が牽引、堅調な自転車産業)
また原付バイクだと、ガソリンをこまめに入れたり、点検なども必要ですが、電動自転車の場合は、ステーション内で簡単に充電ができることと、点検などにも費用はそこまでかからないため、経営においてもランニングコストが大きく変わったと言えます。
経営にもイノベーションが起こっているんですね。
訪問手段だけではなく、iPadの支給や、クラウドサービスの活用によって、どんどんICTが進んでおります。要は、どこにいても情報共有が可能になり、リモートワークなどもできるようになっているステーションも増えております。(もちろん、訪問はいつでもリアルですが)
これまで、移動がネックで訪問看護へのハードルが高くなっていた、、、という看護師様。
今は、昔と違って、ほとんどのステーションが電動自転車メインとなっておりますので、心配だった方は安心して気になるステーションの見学へ行ってきてもらえたらと思います。
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ほんとは、訪問看護がずっとやりたかったのに。。と思っていた方の、背中をほんの少しでも押すことができたなら幸いです。
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≪今回のコラム寄稿者≫
YU/SHERPA代表コンサルタント
自動車、IT、美容、金融業界のマーケティングに
精通し、29歳で医療系人材業界へ。その後、独立。
戦略的な提案で法人と個人から信頼を得る、
日本でもレアなMBA/FP保有キャリアアドバイザー。
一男一女を持ち、学生から既婚者の悩みに
共感できる、パンケーキ好きのアラフォー。