看護師の離婚率が統計上高いことは有名でありますが、弊社にもシングルマザーの看護師様からの転職相談も非常に増えてきているのが現状。ご家庭の事情などもあって、仕事を探すのがなかなか難しいイメージがあるかもしれませんが、そんなことなく、、続々と好条件の求人へ転職が決まっていっています。今回はそんなお話です。
どんなシングルマザーが多い?
母子世帯等の定義とは、厚労省によると
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母子世帯………父のいない児童(満20歳未満の子どもであって、未婚のもの)がその母によって養育されている世帯。
父子世帯………母のいない児童がその父によって養育されている世帯。
養育者世帯……父母ともにいない児童が養育者(祖父母等)に養育されている世帯。
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とのこと。
(参照/厚労省 全国ひとり親世帯等調査)
上記の中で、母子世帯等の定義の3項目の中から、SHEPRAに転職相談に来られる方は、ほぼ100%が母子世帯。(ちなみに、自分も両親の離婚を経験しており、30年前では非常に珍しい父子家庭でしたので、各家庭のご苦労なんかは共感できることもあるかと思います)
ご相談の大半が、母子家庭の看護師様だったり、保育士様だったりするのですが、乳児のお子様と一緒に暮らしている20代の方から、18歳の高校生のお子様と一緒に暮らしている40-50代の方まで幅広いです。
でも、悩みのポイントはほぼ共通しています。
1番は圧倒的に収入です。それとセットになるのが、ご本人が希望する収入を得られる仕事は、家庭と両立させることができるのか。これも同時に1番に上がってくるという合わせ技になることが多いです。
やっぱり仕事をしないといけない!という状況がありますので、他の求職者様に比べて仕事が決まりやすいという傾向はございますが、親族のサポートがあるかどうかは、ポイントになってます。
例えば、同居している祖父母がいるかどうか。自宅の近くに親戚が住んでいるか。これは特にお子様が小さいと、何か発熱や怪我があった際に、サポートしてもらえる体制かどうかですね。
基本的には、親族が近くにいようがいまいが、お子様に何かあった時は有給を使うなり、早退するなり、なんとかしてもらえる理解のある職場が多いと思いますが、それは頻度などにもよりますよね。職場でも早退されたら困るタイミングや、欠勤されたら困る日はあるわけで、そんな時にお願いできる環境があるかどうかは、採用サイドにとっても大きなポイントになってきます。
さて、今よりも収入を上げたい!とか、今よりも収入を下げたくないが、土日休めるようにしたい!残業がなくて子どもより早く家に帰れるようにしたい!など様々な悩みを抱えるシングルマザーの皆さんがどんな職場へと転職していったか事例をご紹介します。
どんな好条件の求人へと転職している?
【Case1】
小学1年生のお子様と、実母と暮らす40代の看護師様。
ワケあって離婚され、お子様とお母さんと3人暮らしをする看護師様。家庭との両立を考えると夜勤ができなくなったということで10年お勤めされていた病院から、
「日勤のみ、週休3日で、正社員」という訪問看護ステーションへ転職されたとのこと。
条件がいいですよね?
自宅から1時間かかるみたいなのですが、条件が良かったので決めたようです。
しかし、この訪問看護ステーション。
面接時に聞いていた内容と実態が違うようで、残業がとても多く、毎日の帰宅時間が19時を超えていたそうです。
お子様を学童に預けていて、MAXの延長となる19時まで見てもらえるそうですが、その時間まで学童に残っているのは我が子1人だけ。迎えに行くこともできず、実母に毎日お願いしているうちに、これはずっと長く続けるのは難しい、、そう思っていたところに、知人からSHERPAのお話を聞いたみたいで、ご紹介により相談に来られました。
さて、初回の連絡では電話をしたり、その後メールをしたり、面談をしたり、一旦は転職の時期をズラそうかと決めたり、色々ありました。
ただ、最終的には早期に転職をしよう!となり、決まった職場は施設内訪問看護でした。
(関連記事/破格の条件の施設内訪問看護の求人。応援看護師を超えちゃいました。)
まず、通勤時間が半分になりました。それと残業はほぼ出ません。施設に出入りしている夜勤専従の看護師さんが来られるのでサクッと申し送りをするのみ。もともと勤務されていた訪問看護ステーションと違って、オンコールがないことと、車やバイクによる移動がほとんどないことも、ご本人にとっては負担が少なくて気持ちが楽になったようです。
さすがに週休3日の部分は、週休2日になってしまいましたが、
想定収入は一気に150万円近く上がり、なによりお子様との毎日の時間を大事にできることが嬉しいですよね。
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【Case2】
小学6年生のお子様と二人で暮らす30代のシングルマザーの看護師様。親族は徒歩圏内のところにお住まいされていらっしゃるとのことでした。
もともと病院で長く勤務されていましたが、経営統合により人間関係などが悪くなり、職場がギクシャク。残業も多いうえに、残業代も支払われない状況に不満もポツポツ。長く勤めていても、収入も頭打ちで、これから教育資金をもっと貯めていきたいという時にどうしよう、、、というのがお悩みでした。
じっくりとお話をすると、
ご本人が夜勤が好きだということに着目。体調的にも、スケジュール的にも、家族のサポート的にも、夜勤がいい、、ということになりましたので、最終的に夜勤専従の働き方をご提案させていただくことになり、転職が決定。(関連記事/夜勤バイトを始める前に、看護師として必ず心に留めて欲しい事。)
病院の夜勤専従常勤ということで、
想定年収が680万円という、驚きの内定となりました。
これは本当に喜んでもらいましたね。自宅から車で30分のエリアに、そんな病院があって、そんな働き方ができるなんてと。入職されてからもフォローさせてもらってましたが、ご家庭と両立できているようで、本当に安心しました。
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【Case3】
1歳の子と暮らす20代の看護師様。自宅すぐ近くに両親が住んでおられるとのことでした。
病院の救急外来で職場復帰するも、激務で残業もあり、大変な職場。でも、子どもがいるからと、みんなが残業している職場で自分だけ定時上がりしていることに、後ろ髪を引かれるような思いを抱えていたそう。
お子様については自宅近くの保育園に預けていたそうですが、送り迎えも両親にお願いすることも多く、もう少し両親に頼ることなく、自分で家庭と仕事の両立をしたいという思いから、これまた知人の紹介でSHERPAに転職の相談がありました。
お話をお伺いしていると、自分の子どもが生まれたことでこんなに生活が変わるなんて。こんなに自分の性格や思考が変わるなんて。こんなに子育てが難しくて、楽しいものだなんて。
そんなお話を聴けたのが印象的でした。
そんなお話もあって、
最終的にご案内させていただいたのは病院ではなく、保育園。(関連記事/保育園で働きたい看護師は必見。実は、求人は増えている!?)
一番のポイントは、
最愛の娘さんと、同じリズムで仕事ができるということ。
保育園というのは、園によって多少の違いがあれど、ほとんど同じような時間帯に稼働しています。朝の7時ぐらいから開園して、閉まるのは19時ぐらい。土曜日は園児さんもグッと少なくなり、日祝はお休みという感じがほとんどです。まあ、カレンダー通りみたいなイメージに近いかもしれません。
基本的に、保育園は保育士の方がメインで活躍されている職場ですが、園によっては看護師さんに常駐してもらって園児さんの健康管理を任せているところも徐々に増えてきています。
その場合、だいたい勤務時間は平日の9-17時というコアタイムになることが多いです。(30分ぐらい前後するシフトもありますが)
小さいお子様をお持ちの看護師様がご希望する条件って、土日祝休み、日勤のみ、残業なし、って場合がほとんどなので、働く職場として保育園も検討する価値は十分あるんじゃないかと思い提案させてもらっております。
本ケースの場合は、園見学もして、働くイメージもできたようで転職が決定。病院の救急外来はフルパートだったみたいですが、保育園へは正社員として転職。賞与も毎年4ヶ月以上ある法人でしたので、年収で420万円以上になり、収入も転職により70万円程アップ、ご家庭との両立もしやすくなり、これも大変喜んでいただきました。
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事例を3つだけ挙げさせてもらいましたが、いかがでしたでしょうか?
全国から相談が続々。
どれも詳細を語らせてもらえれば、2時間は語れるぐらいジックリ、ドップリとサポートさせてもらいましたし、転職後もお仕事と家庭が両立できているかどうか、都度連絡を取っていたので本当はもっと共有したいぐらいです。(笑)
ただ、文字にするとどうしても長くなるしね。。ええ塩梅にしておかないと怒られそうで。(誰にや。。。)
さて、以前のCOLUMNでも取り上げましたが、母子家庭の方を採用すると、実は法人側にもメリット側があるのはご存知でしょうか?
(関連記事/母子家庭の方は是非メモを。看護師はまず知らない、特定求職者雇用開発助成金という制度について。)
これ、実は法人サイドも担当者によっては全然知らない制度なんです。一言で言っちゃうと、母子家庭の人を採用すると、国から60万円もらえる制度。
SHERPAからのご紹介の場合は、国の助成金とセットで法人様に提案するので、ご採用もいただきやすいのだと思います。
さてさて。最近では、母子家庭になりそうなんです、、という看護師様からの相談も多くなってきました。しかも、日本全国のあちこちから。
この場合、状況も読めないので、すぐすぐ求人の提案は難しいのですが、弊社の顧問弁護士に相談しながら適切なアドバイスなどはできる場合がございます。
どんなことかと言いますと、もうすぐ母子家庭になるかも、、って状況には様々なご事情あるかと思います。
お金のことなのか、親権のことなのか、DVのことなのか。そしてそういったことがいつ認められて、いつ離婚が成立するのか。ほとんどの方にとって離婚は初めてのことになるため、わからないことだらけ。
なので、離婚にも強い弊社の顧問弁護士に相談しながら(もちろん、プライバシーのこともありますから、求職者様ご本人と面談等したうえで、ご本人が弁護士からのアドバイスを求めた場合に限りますが)転職について平行して進めることも可能です。
お悩みのことがあれば、1人で抱え込まず、一度相談していただけたらと思います。
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あ、そうそう。転職とは関係ないですが最後に一言だけ。
離婚してシングルマザーになることで、子どもに迷惑をかけてしまっているとか、寂しい思いをさせてしまっていると、罪悪感とか責任感を感じている方もいるかと思います。
30年前、父子家庭で育ち、その父も月に1度しか家に帰ってこないというレアな家庭環境で育った自分の気持ちではありますが、両親のことを憎んだことはありません。むしろ感謝しています。もちろん、支えてくれた親族もいますのでそういった存在も大きかったです。(まだ両親ともに健在で、たまに会ってます)
なんだかんだ子どもは勝手に育っていきます。親の想像を絶するスピードで。そのうち、一生の友人ができ、一生の恩師ができ、親の知らない色んなところに居場所を見つけるようになります。
ひとり親になったからといって自分を責めないでくださいね。少なくとも、子どもは離婚をした親のこと責めたりしません。安心してください。
≪今回のコラム寄稿者≫
YU/SHERPA代表コンサルタント
自動車、IT、美容、金融業界のマーケティングに
精通し、29歳で医療系人材業界へ。その後、独立。
戦略的な提案で法人と個人から信頼を得る、
日本でもレアなMBA/FP保有キャリアアドバイザー。
一男一女を持ち、学生から既婚者の悩みに
共感できる、パンケーキ好きのアラフォー。