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お仕事 - UPDATE 2022/07/04

余命1ヶ月のキャリアアドバイザー。

それは突然の報告でした。でも最後に会うことができて良かったです。今回は、たった一人に届けば、と想いを書いたCOLUMNです。


最初のアドバイス。


紆余曲折を経て、自分が大学院を卒業する時、在学しながら就職したのが某人材紹介会社。(関連記事/看護師の転職を支援するキャリアアドバイザーってどんな仕事?

 

3月という中途半端な時期ではありましたが、同期が6-7名いており、本社社員の前で挨拶をして、席に案内された時、自分の右隣の席にいたのが、Sさんでした。

 

当時、会社はものすごい勢いがあり、年商も50億円を突破し、翌年には70億円、その翌年には100億円を狙うという、まさにイケイケドンドンの環境でした。今は、もっと売上もすごいことになってます。(コンプライアンスなんて言葉もほとんどないような無法地帯でパワハラやセクハラなんて日常茶飯事でした。結局は、そういったこともあり、自分も含め退職者はとても多かったですが。。。)

 

四方八方でガンガン営業電話をしている環境の中、そのSさんだけは何やら違う。

 

他の営業マン達と明らかにタイプが違うことがわかったんです。自分は人材紹介については全くの未経験でしたが、それだけはわかりました。

 

当時はその違いについて言語化できなかったですが、今ならできそうです。

 

求職者様が希望する条件を聞いて、当てはまるところをひたすら提案しまくるプッシュ型ではなく(今でもこのスタイルの人材紹介会社やキャリアアドバイザーがかなり多いと思いますが)、求職者様が抱える悩みや問題をしっかりと聞き出し、それを解決できるよう働き方を一緒に考えながら、求人を絞り込んでいくようなイメージ。

 

とにかく相手の言うことを否定せず、共感しながら、求職者様のペースに合わせて建設的に話を進めていくことを意識されていたのだと思います。(自分はまだまだこのレベルに達していないかもしれません)

 

入社して間もなく、初めての環境に戸惑っている自分にSさんはこんな質問をしてくれました。

 

『転職のサポートをするうえで一番大切なことはなんだと思いますか?』

 

当時、自分がどのように答えたかはあんまり記憶がないのですが(怒られるで、しかし)Sさんはこのようにアドバイスをくれました。

 

『それは転職理由です。その人にとってはすごく大きな悩みや問題があるからこそ解決したいと考えているわけです。そこをしっかりと改善できるような提案ができないと転職したとしても同じことの繰り返しになってしまうかもしれません』

 

人材紹介未経験で、当時はまだ素直?だった自分には今でも忘れられない基本中の基本のこととして、そのアドバイスについてははっきりと覚えています。そして、それからずっと忘れることなく求職者様と面談をする際には、退職理由についても純粋にお聞きしたいと思い、いつも聞かせてもらってます。


突然の病。


約2年間在籍した会社を退職し、自分が独立をした頃。真っ先に連絡をしてきてくれたのもSさんでした。

 

Sさんも将来的には独立を考えていたようで、資本金のこと、有料職業紹介の許認可のこと、法人の開拓のことなど、起業全般について相談に乗りながら、途中からは業務委託という形で弊社にも携わっていただくことになりました。

 

そんな時、Sさんが会社を病気で休業しているという一報が入りました。

 

『難病にかかったみたいだけど、治療をして回復の見込みはあるので、そのうち復帰するだろう』

 

こういった続報も入り、同時に少しホッとしていたのも覚えています。(この間、業務委託していた仕事もストップし、音信はほぼ不通でした。)

 

そこからさらに2年ほど経った頃でしょうか。ある日曜日にLINEが来ました。

 

---

病気が悪化して余命が1ヶ月であること。

骨髄異形成症候群を発病し、2年間闘病していたこと。

骨髄移植と再発を繰り返していたこと。

がん細胞が抗体を持つようになり治療が難しいこと。

さらなる治療に耐える体力が残っていないこと。

すでに治療は終了していること。

残された時間を有意義に過ごすことを決断したこと。

大切な人と時間を共にしたいこと。

最後に会いたいということ。

---

LINEを見たときは、ショックでしばらく言葉が出てこなかったですが、すぐに返信をし、週明けに会いに行く約束をしました。

 

冗談半分で二人で何度か行ったジンギスカンに誘ったんですが、コロナの影響もあり営業はしておらず。(Sさんも、即答で行こう!とのことだったので、残念ですが。。。)

 

別店を予約しましたが、当日になりSさんの体調があまりよくないということで、急遽ご自宅の方に招待していただき、奥さん・娘さんと少しだけ言葉をかわし、Sさんと2時間ほど最後の会話をさせていただきました。


2年間、死と向き合ったこと。


久しぶりに会ったSさん。

 

想像以上に痩せていて、闘病生活がいかに厳しかったか、物語るには十分なぐらい容姿も変わっていました。

 

『連絡返してくれてありがとう。来てくれてありがとう。』

 

『当たり前じゃないですか。何言ってるんですか。』

 

しんみりしたくない、笑い話をいっぱいしたい。そう仰っていたSさんですが、会話を重ねていくうちにどんどんエンジンがかかってきて、話題は仕事の話に。

 

自分がキャリアアドバイザーとしてどんなことを大切にしてきたか。どんな想いを持って看護師さんと携わってきたか。何を意識して部下を管理してきたか。今、密かに練っているビジネスプランについて。話は尽きませんでした。

 

これが最後になるかもしれない。自分はそう思ったので、なるべくいろんなことを聴きたいと想い、質問をさせていただきました。(あんなに集中して2時間以上も人の話を聞いていたのも、自分でも珍しいなと思いますが。笑)

 

その中でも、印象的だった言葉があります。

 

『こんなに熱をもって仕事の話をしたのは闘病生活をしてて一度もなかったかもしれないです。自分にまだ職業人としての火が残っていたことを感じることができたし、最後に仕事の話ができて本当に良かった。ありがとう。今でもこうして仕事の話ができる関係が幸せだし、あなたは妻にも娘にも自慢できる存在です。』と。

 

嬉しい言葉であると同時に、Sさんがどれだけ自分がやってきた仕事に誇りを持っているか、自分が捧げてきた仕事を好きか。感じることもできました。

 

自分がやっているこの仕事を嫌いになりたくないから、嘘をつきたくない、とも仰っていました。(関連記事/看護師よりも離職率の高い、意外なあの仕事。

 

残念ながら、この人材業界では平気で嘘をつく人間が跋扈しています。(関連記事/看護師の転職サイトにおける、おとり広告、ダミー求人に一言、二言。

 

ネットではありもしない好条件のダミー求人にとんでもない額の広告費が投下され、見たことも行ったこともない求人を『あなたにピッタリの求人ですよ?』と求職者様にゴリ押しをする会社がありえないぐらい成長を続けてきています。

 

Sさんは、こう言いました。

 

『目先の利益のために嘘をつくことで、求職者様にも迷惑がかかってしまうし、採用する側にも迷惑がかかる。それで結局、早期退職になってしまって職歴が悪くなってしまったら、本当に意味がない。そんなことになれば、自分がやっている仕事も嫌いになってしまうかもしれないから、それだけはしたくない』

 

2年間、自らの死と向き合いながらも、仕事で大事にしていることはなんら変わることなく、死の瀬戸際でも自分の信念を力強く語るその姿は、出逢ったころと何も変わってなくて、懐かしい気分もしました。

 

また40代前半という若さで自分の死を受け入れながら、十分に幸せだったこと、これ以上ないぐらい人にも恵まれていたこと。今を達観できる器の大きさも、とてもじゃないですが、自分には持てないものだと、深い学びをさせていただけた気がします。

 

自分の方からも、感謝の気持ちと、敬意を込めて、最後のメッセージを伝えることができました。

 

『志を持って初めて飛び込んだ人材紹介の世界。その時、隣の席にいて、初めて見たキャリアアドバイザーがSさんでした。鳥の雛は生まれて最初に目に入った物を親だと思い込むようですが、それと同じようなことかもしれません。自分にとってはSさんが親みたいなものです。』

 

シャイな自分としても、比喩を使いながらではありますが、最大限の感謝の気持ちを伝えることができたと思います。最後に会えて良かった。出会えて良かった。あの時、隣の席にいてくれて良かった。

 

イズムは継承していきます。(関連記事/もっと素晴らしいはずの自分を探すための転職。

 

またいつか。どこかで。一緒にジンギスカンを食べましょう。

 

 

≪今回のコラム寄稿者≫
YU/SHERPA代表コンサルタント


自動車、IT、美容、金融業界のマーケティングに
精通し、29歳で医療系人材業界へ。その後、独立。
戦略的な提案で法人と個人から信頼を得る、
日本でもレアなMBA/FP保有キャリアアドバイザー。
一男一女を持ち、学生から既婚者の悩みに
共感できる、パンケーキ好きのアラフォー。

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