転職相談を受けていると、頻発するワークライフバランスというキーワード。これについての持論を本日は共有したいと思いますので、転職活動において頭の片隅にでも置いてもらえると幸いです。
ワークライフバランスって?
ほんとによく出てきます、このワークライフバランス。(以下、WLB)
転職相談でほぼ毎回のように出てくるわけですが、(面白いことにWLBを軸に転職活動をする人ほど、転職活動は苦戦する傾向にありますが、これはオチで後述します)結局、ソレってなんなの?って本人に聞くと、人それぞれ回答があるわけです。
ちなみに、今これを読んでいるアナタがWLBを大事に転職をしたい!と考えていたとして、WLBが整っている状態は、どんな状態か想像してみてください。
そして言語化してみてください。仕事とプライベートがどうバランスすれば、幸せ・豊かになりますか?
人それぞれ、想像した世界は異なるかもしれませんが、転職相談に来られる方の世界を言語化すると、ものすごくシンプルに言えば、
「今よりラクしてお金を稼ぎたい」というものです。
(関連記事/資格を活かして働きたい、、と言うけれど。)
それはそれで全然OKなんですが、ラクしてお金を稼げる状態ってどんな状態でしょうか?
ワークライフバランスの本質とは?
さて、あくまで持論になりますが。
ラクをして稼ぐということの本質は、「プロとして習熟度が高いからこそ達成することができる」ということではないでしょうか?
喩えば、無資格未経験のド素人に、『看護師はラクして稼いでいる!』と言われたら腹立ちませんか?笑
お前が寝ている時も、遊んでいる時も、こっちは夜勤して医療現場で戦っていたし、プレッシャーのかかる国試や実習を潜り抜けているんだと。だから素人にはできない仕事ができて、その対価として報酬を受けているんだと。
まさにそういうことなんですよね。
他の人よりも高い習熟度があるからこそ、一見難しい仕事をラクにこなす。時間を短縮してこなす。
それがラクをして稼ぐ、の本質だと思います。(ラクをしているように、見えるだけでね)
スポーツでも一緒ですよね。
喩えば、ゴルフだと素人がラウンドすると思ったところに球が飛ばず、18ホールを終えたころには、あちこち走り回ってスコアも、時間も、大変なことになります。でも、プロだとほとんどミスをせず、18ホールを70-80前後の打数で周回し、体力もほとんど使わないでしょう。で、楽しいはずです。
マラソンだって同じ。プロが走れば42.195キロも2時間ちょっと。セミプロなら3時間は切ってくるでしょう。でも、素人が走れば5時間も6時間もかかるし、場合によっては完走すらできません。プロからすれば、42.195キロを3時間とか4時間で走るなんて、ものすごくラクなことに違いないでしょう。ただ、フルマラソンを2時間台で走るなんて、とんでもない練習量が必要なのです。
それぐらいラクをする、ということは本来は難しいことなのです。(関連記事/働き方の価値観について。)
ここで、WLBの本質に再度立ち返ってみましょう。
ワークとライフをバランスさせるには、まず仕事をしっかりとこなすことです。
残業が出ないよう、効率的に回せるよう、他の人にも権限委譲ができるよう、習熟度を上げることです。
他の人が1時間かかる仕事を45分で終わらせる。この15分で別の仕事ができますし、場合によっては早く帰ることもできるでしょう。
そういったことを繰り返すうちに、仕事のレイヤーはどんどん上がっていき、収入も比例し、時間の自由度も上がってくるのです。これが本質です。(だと思っています)
自分が思ったように仕事ができるから、その環境に適応できるから、時間の余裕ができてくるわけです。
仕事のレイヤーが上がれば、当然アナタ自身の転職市場での価値も、流動性も高まることだと思います。
採用者目線で考えると答えは必然に。
さて、自分自身もまだまだ若輩者ではあるものの、会社経営というものをしておりまして、採用・面接というものは一定経験をしております。
また人材紹介という仕事に携わってからは10年が過ぎようとしておりますので、
多くの経営者・人事担当者とも採用という会社経営における最重要課題について議論を重ねてきました。
1つハッキリとお伝えしておくと、面接の場でワークライフバランスをアピールする人ほど、上述した本質を理解していない人が多く、瞬時に見送りのアラートが経営者・人事担当者の脳内で作動するということが起こり、良くない結果になります。
(関連記事/転職できない人の共通点。)
さすがに、とんでもないブラック環境で、月の休みが2-3日しかないとか、1日の労働時間が17時間ぐらいあって、手取りの収入が20万円を切る、でも目の前にいる候補者の能力・経験・お人柄から考えるとそれは勿体無い、という人がワークライフバランス、、と言うと何も問題はありません。むしろ、説得力があります。
(関連記事/固定残業代がある会社は、ブラックなの?)
でも、たいして成果も出してなさそう。普通に土日祝も休んでいる。1日に残業しているといっても、1-2時間程度。(そんなものはしっかり準備して効率的にやればもっと早く終わるだろというレベルのツッコミも脳内ではしていますよ)経歴・スキル・お人柄も高い評価もできない人が、現職への不平不満を口に出し、ワークライフバランスと言うと、もうその時点でお見送り確定です。
家庭やプライベートは絶対優先してね。仕事なんて、その後でいいし、バランスできるように良い塩梅でやってくれていいからね。なんて、経営者・人事担当者は存在するかもしれませんが、ごく少数であり、出逢えることは少ないでしょう。
現実的には、家庭やプライベートが大事なこともわかる。でも、採用する側も、目の前にいる求職者が本当にしっかり仕事をしてくれるか不安ではある。。。まずは仕事をしっかり頑張ってもらって、慣れてきた頃には時間の余裕も出てくるだろうし、休日のことや、働き方のことも、柔軟に相談できたらいいな。何か助けになれたらいいな。その延長線上に、長く働いてもらえるようなことがあればいいな。こんなふうに考える経営者・人事担当者の方が圧倒的に多い、というのが肌感であります。
家庭は大事にしたい。残業もしたくない。いっぱい休みたい。何かあれば早退したい。困ったことがあれば助けてくれる人がいてる。それを約束してくれるなら、その時間帯だけは働いても良いよ?というスタンスが見え見えな方ほど、嫌われるということです(笑)まあ、普通に考えて不要ですよね。そんな人。
伝え方1つなんで、ほんとにこの辺も難しいところです。転職なんて一生のうち数回するかしないかですし、日々面接・選考をしまくっている経営者・人事担当者とは感度が違うのも当たり前です。
なので、そういった部分で、しっかりと伝え方の調整もさせてもらうのが、我々の役目でもあります。
ぜひ、WLBを大事にして転職をしたい、ということであれば、今回の内容を頭の片隅にいれ、(ど真ん中でもいいぐらいですけどね)まずは仕事でしっかりと成果を出し、その後にプライベートや家庭の時間を確保できるようにしたいです、とアピールできるようになれば、面接での評価も違ったものになるかと思います。
とはいえ、、
会社によって、WLBの考え方もそれぞれです。
本当にビックリするぐらい恵まれているところもあれば、理想のWLB実現に向けて道半ばなところ、全く従業員の幸せなど願っていないのでは?と思えるようなところ。さまざまです。
WLBを大事に転職をしたいなとお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。
≪今回のコラム寄稿者≫
YU/SHERPA代表コンサルタント
自動車、IT、美容、金融業界のマーケティングに
精通し、29歳で医療系人材業界へ。その後、独立。
戦略的な提案で法人と個人から信頼を得る、
日本でもレアなMBA/FP保有キャリアアドバイザー。
一男一女を持ち、学生から既婚者の悩みに
共感できる、パンケーキ好きのアラフォー。