
古い価値観が合わない。
先日、とある求職者様から転職のご相談をいただきました。
退職したい理由を聞くと、「毎日サービス残業をしているが、なかなか改善しない。チームプレーも連携が難しく、ずっと同じような状況が続いている。上司からのフィードバックなどもなく、先が見えない。上司からフォローなどもほとんどなく、孤立しているように感じてつらい、、」というものでした。
はい。聞いてるだけでも、なかなかシンドイ状況なのは伝わります。
今回の求職者様は、学生時代は部活にも一生懸命で、最初に就職した東証1部上場企業ではバリバリ勤務されており、どんどん出世されていたようです。コロナの影響などもあり、転職せざるをえない状況になってしまいましたが、もともとメンタルも、フィジカルも、とても頑丈な方です。そして、何よりも前向きで、フットワークも軽い。そして、なんだかんだで今回は3度目の転職です。
言い方は悪いですが、ちょっとやそっとの残業で弱音を吐くような人ではない。そういう印象を持っておりました。キャリアアドバイザーとしても、ご本人に非常に高い評価をしており、期待もしていたのです。
さて、
今回の求職者様にとって、大変なことやツライことは、単に忙しいことや、サービス残業が多いことそのものではなく、一生懸命頑張っているのに誰からも見てもらえてないという感覚、チームプレーができてないという感覚、そういった積み重ねからやりがいを見失っている部分だと感じました。また、その部分を都度確認しながらご本人とお話をしておりました。
なので、
当然弊社からご提案する求人としては、頑張っていることをキチンと見てくれて評価してくれる同僚や上司がいること、そういった文化がある職場であるのが大前提。そういったことを徹底的に追求し、絞って絞って求人をご提案させていただきました。(関連記事/資格に縛られすぎ?看護師以外にも道はたくさんある!)
結果、ご本人にもご興味をもっていただき、見学・面接に進んでいただいたのですが。。。
価値観の捉え方。
そこで面接を担当してくださった責任者様が、非常に良いお話をしてくれました。
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先輩よりも30分以上早く出勤する。
自分の仕事が終わってなくても先輩より先に帰らない。
サービス残業なんてして当たり前。
飲み会には誘われたら参加する。
有給は会社から与えてもらうもの。
......etc
そういったひと昔前の古い価値観みたいなものをいつまでも持って、イマドキの若い世代に押し付けているような企業はもう採用なんてできないと思います。これからは、若い人もどんどん出てくるし、そういった方が新しい価値観や考え方を提案・発信をしていって、活躍できるよう採用も変わっていかないといけないと思います。と。
この責任者様は50代の女性の方ですが、普段からこういったことを積極的に発信をされておりますので、特に驚きはなかったですが、今回もやはり求職者様の心には相当に刺さったようで、素敵な職場だと、と感じたようです。
ただ、求職者様が後日仰ったお気持ちに、驚いてしまったので、ここからが本題。
イマドキの価値観って?
『素敵な考えをされている責任者様で共感できることも多かったのですが、他で検討している求人と比較して、月給で1-2万円下がるんです、、、』と。条件面がネックで、、と。求職者様がポロリ。
(この他で比較検討している求人については、現地にいったこともなく、責任者の話を聞いたこともなく、どんな人が、どんな価値観のもと仕事をされているか、知らないとのこと)
個人的には、
非常に残念でした。
間接的にそのことを聞いたとき、「え?マジで?」という言葉が口から出たと思います。(笑)
今や、多くの一般企業でも副業が認められており、日本政府でさえも副業を推奨している時代です。
(関連記事/看護師は、どんな副業してるの?)
タダでネットショップを開設できたり、タダでYouTubeもできます。好きな洋服や雑貨を仕入れてメルカリで売ったり、ブログを書いてアフィリエイトで稼ぐこともできる。株や投資信託を始めて不労所得を得ることだってできる。月に1-2回だけコンビニでアルバイトするにもありでしょう。
(関連記事/2018年は投資イヤー!?NISAをフル活用する弾性看護師のお話。)
つまり、
収入についてはいくらでもポケットをつくることができる時代です。ひと昔前に比べて、働き方についての古い価値観よりも、働き方の新しい価値観や方法の可能性がどんどん広がっているのです。
月給で、1-2万円低いのがネックだと感じているのであれば、そこはイマドキの価値観や働き方で、なんとかしよう!と自分で思わないの?正直、1-2日アルバイトすれば稼げるお金ですよね?と。
ツッコミどころが満載だったんですよ(笑)
何もしなくても自分に利益をもたらす価値観については認めて、何かをしないと自分に利益にならない価値観については認めようとしない。
おそらく、世の中のいろんな情報やサービスや娯楽が、タダで享受できるフリーミアムモデルが当たり前になってきているので、そういった事に慣れてしまっているんでしょう。
価値観は人それぞれですが、あまりにも自分都合な価値観の解釈じゃない?と。
整理しないと。
もちろん、雇用条件は大事ですよ。
働く上でお金というのは大切な数字です。
そのお金を安定して稼ぎたいと思ったから、看護師になったり、医師になったり、国家資格を取っている人もたくさんいるでしょう。
でも、
今回の求職者様の退職理由は、お金ではないんです。お金ならご自身でも納得するレベルで十分もらっていた。(お金と働き方のバランスが大事だ!とツッコミが飛んできそうですが、そんなことは当たり前過ぎるので受け流しますね。)
自分がうまく出来ていなくても、周りがフォローしてくれるチーム。
周りがミスをしたとしても、自分がフォローしてあげたくなるチーム。
勝っても負けても、理不尽な扱いを受けず、一丸となれる組織。
良い時も、悪い時も、上司や部下が自分を見てくれる環境。
そういった環境で、プロとして仕事ができる!
そう思えた職場に出会えたにも関わらず、目先の1-2万円に囚われて、自分が大事にしてきた価値観を見失うことは非常に勿体無いと感じました。(関連記事/もっと素晴らしいはずの自分を探すための転職。)
さあ。なかなかカロリーの高い仕事ですが、価値観について、客観的に感じている矛盾点や違和感については、ご本人に共有させていただきました。
さあ、この後どうなったのでしょうか?
どのように意思決定されたのか。
またその意思決定にはご本人は中長期的に満足されているのか。
見守るしかありませんが、気になるという方は、転職の件でご面談した時にシェアさせていただきます。
1-2万円、給料高いしこっちの法人の方がいいですよ!そんな求人を用意するんで、とりあえずたくさん面接見学に行きましょう!なんて、言えたらカンタンなんですけどね。(笑)
(関連記事/看護師の転職サイトにおける、おとり広告、ダミー求人について一言、二言。)
まあ、口が裂けても言えそうにないですね。。。
今回は、ちょっと長かった。。最後まで読んでいただいた方がいたなら、それはもう幸いです。
≪今回のコラム寄稿者≫
YU/SHERPA代表コンサルタント
自動車、IT、美容、金融業界のマーケティングに
精通し、29歳で医療系人材業界へ。その後、独立。
戦略的な提案で法人と個人から信頼を得る、
日本でもレアなMBA/FP保有キャリアアドバイザー。
一男一女を持ち、学生から既婚者の悩みに
共感できる、パンケーキ好きのアラサー。