看護師様の転職相談に乗っていると、最近多いのが「やりたいことがわからない」「自分が何をしていきたいのかわからない」というもの。自分に不甲斐ない感情を抱いてたりする求職者様も多いのですが、全然気にすることないと思います。
意図的戦略と創発的戦略。
ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・M・クリステンセン教授によると企業には、
意図的戦略と創発的戦略があるとされています。(関連記事/
ハーバード流。3歳未満のお子様を育児中の看護師さんの最強の投資とは?)
予め立てていた計画に沿って戦略を実行するのが意図的戦略で、予期してなかった機会や積み重ねていた経験から当初のプランとは違う戦略を実行する創発的戦略。
例えば、世界中へ二輪バイクを輸出しているHONDA。アメリカの二輪市場へ参入した際は、ハーレーダビッドソンなどと競合する大型二輪を投入したのですが、当初大苦戦しており、実は撤退寸前だったようです。
しかし、HONDAの社員が休日に広場で乗り回していたスーパーカブが、ひょんなことから口コミとなり、そこから大型二輪ではなくカブの輸出へ切り替え、大成功したというケースがあります。
これが、創発的戦略の典型的なケースです。
でもこれって、恋愛においても同じようなことがあるのではないでしょうか。
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イケメンで、背が高くて、優しくて、面白い人で、頼り甲斐があって、収入もそこそこあって、浮気しない人がいい。そんな人が理想的であるとターゲットを定め、そのターゲットと結ばれるための意図的戦略を持っていても、職場であったり、コンパだったり、友人からの紹介があったとしても、なかなか理想通りの人に出逢えることは少なく、自分の意図的戦略を実行することは難しいですよね。
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逆に言うと、以下のようなケースの方が実際には多いのではないでしょうか?
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全然自分のタイプでもないし、付き合う気も、結婚する気も全くなかったけど、色々タイミングもあって付き合うことになって、共感できる部分もちょっと見つかったり、意外と良いところも見つかったりして、結果的に居心地も良くて、その中で結婚も考えるようになったり、という人やカップル。このパターン、アリですよね。
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これが、恋愛における創発的戦略ですよね。(笑)
最初は、そんなつもりじゃなかったけど、流れの中でこうしていこう!って決まることって人生の中で多いと思います。
実は、これは転職や仕事選びにも同じように当てはまります。
振り返った時に、点が繋がる。
AppleのCEOだったスティーブ・ジョブズ氏がスタンフォード大学の卒業式で語った伝説のスピーチでも創発的戦略に関連するものがありました。
それが、点(ドット)の話です。
スティーブ・ジョブズ氏自身も自分が持っていた意図的戦略はうまく実行できなかったようで、大学を早期中退しているようです。授業がつまらなくて、退学を決意してからは、自分が好きな美術やデザインの授業などに出ていたそうですが、この時の経験がMacを開発する時に役立つとは思わなかったと、振り返ってます。
自分の直感に従い、突き進んで振り返った時にその自分が残してきた点が繋がっていくのだということをスピーチしています。
この点(ドット)の話を看護師様のキャリアの話に置き換えると、こんな感じかもしれません。
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最初は透析の仕事を続けていくつもりはなかったけど、続ける中でやりがいを見出したり、強みにしていくことができた。(関連記事/
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美容クリニックに少し興味がある程度だけど、たまたま転職した。それでも、美容医療の奥深さに自分自身は魅力を感じ、ずっとこの分野で仕事を続けていきたいと思った。(関連記事/
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病棟勤務は基本的に嫌なことが多かったけど、患者さんと1対1でコミュニケーションを取っているその瞬間だけは看護師としてやりがいを感じることができたと思い、訪問看護のキャリアをスタートさせることができた。(関連記事/
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特にキャリアが浅い看護師様ほど、自分が将来どうしたいかわからない。転職もどうするべきかわからないと悩みを抱えることが多いのですが、決しておかしいことではないので、安心してください。
どのように判断すべきか。
またクリステンセン教授は
意図的戦略と、創発的戦略のどちらを選択するべきかを、どう判断すればよいかについては、ペンシルバニア大学ウォートンスクールのイアン・マクミラン教授とコロンビア・ビジネススクール教授のリタ・マグラス教授が開発した「Discovery-Driven planning」を紹介しています。
どのような仮説が正しければ、成功するのか、を決めることだと呼びかけています。
しっかりと休みが取れてプライベートが充実していたら、幸せな人生が送れる?
給与が周りよりも高くて、人間関係がよければ、幸せな人生になる?
学びたい専門領域で日々研鑽をしていくことで、理想通りの道は拓ける?
前提となる仮説がそもそも間違っていると気付く場合もあれば、仮説は間違いないが現在の状況に問題があると感じる場合もあるかと思います。
転職というのは、その判断が今後の一生を変えてしまう可能性があるので、是非正しいアプローチで大事な決断を行って欲しいと思います。(関連記事/
信頼できるキャリアアドバイザーは、あなたの隣にいますか?)
その際に、すぐに求人の給与や休日数、福利厚生といった雇用条件ばかりを見るのではなく、自分が以前の仕事を続けることができなかった理由、また仕事にやりがいを感じることができた瞬間など、自分が幸せなキャリアを築いていくための仮説を考えてみてください。
SHERPAでは、単なる条件検索で仕事の紹介はしておりません。
その求職者様のお話をしっかりと聴き、ともに未来を悩み、考え、最適なキャリアをデザイン・共有してから、そのキャリアを実現できるようサポートさせていただいております。
大阪・兵庫・京都で20代看護師の就職・転職・アルバイトならSHERPAにお任せください。
参考/クレイトン•M•クリステンセン・ジェームズ•アルワース・カレン•ディロン(2012)『イノベーション•オブ•ライフ-ハーバード•ビジネススクールを巣立つ君たちへ』(櫻井祐子訳)翔泳社
≪今回のコラム寄稿者≫
YU/SHERPA代表コンサルタント
自動車、IT、美容、金融業界のマーケティングに
精通し、29歳で医療系人材業界へ。その後、独立。
戦略的な提案で法人と個人から信頼を得る、
日本でもレアなMBA/FP保有キャリアアドバイザー。
一男一女を持ち、学生から既婚者の悩みに
共感できる、パンケーキ好きのアラサー。