日頃、看護師さんの転職相談をお受けしていると、退職金の話が出てくることも少なくありません。この退職金、貰えるなら誰でも欲しいと思います。しかし、退職金にどれほど重きを置くかで、人生が決まってしまうといっても過言ではありません。その理由とは・・・
退職金制度の実情。
普段、病院の採用情報や転職サイトの求人などをチェックしておられる方ならご存知かと思いますが、各医療法人によって、退職金制度を導入しているかどうかは、異なります。
またお気付きのように、退職金制度というのは、なかなかの
ブラックボックスとなっています。
つまり、退職金制度が有か無か、という明示にとどまり、それ以上の記載がないということです。
仮に、退職金が有となっているなら、（勤続3年以上が対象）とだけ記載があることが多いですが、看護師さんが
本当に聞きたいのは、この先の支給額ではないでしょうか？
積極的な看護師さんであれば、医療機関や転職サイトに、退職金がどれぐらい支給されるのかを問い合わせたことがあるかもしれませんが、答えも決まっていますよね。
『それは勤続年数や資格であったり、その時の状況によって変わるので一概に言えません』
そんなことはわかってる！アバウトでええから！と言いたくなりますよね。笑
モデルがあれば・・・
では、次のような回答ならいかがでしょう？
『詳しいことは個人情報、病院情報になりますので差し控えさせていただきますが、参考モデルとしてお伝え致します。20代後半で入社された看護師様、常勤として8年勤務された後に退職された時の支給額は○○円でした』
これなら非常に参考になりますよね？別に個人情報でもないですよね？
なら、これぐらい教えてくれてもいいはずです。
（さすがに、面接も受けてないイチゲンの電話で答えてくれることはないと思いますし、聞き方やタイミングもあるかと思いますが）
退職金を支給しているならば、「いつ、誰に、いくら」支払ったかはデータベースに必ず残っているはずです。
なのに、なぜ上記のような参考モデルすら、教えてくれることが少ないのか？曖昧な表現でかわされてしまうことが多いのか？
そこには、ひょっとしたら不都合な真実があるのかもしれません。
さて、そんな退職金をどこまでアテにするか。これが一つのポイントになってきます。
(関連記事/給与明細って、まずはどこから見たらいいの？看護師のためのお金講座。)
この退職金を転職にどう結び付けるか。
先日、50代前半の求職者様から、現在お勤め先の病院の退職金の額がかなり低いとの噂を聞いたので、転職を検討していると相談を受けました。
別の紹介会社にも登録していて、すでに別の病院をモーレツにオススメされているとのことだったのですが、『その病院の情報を知ってますか？』ということでした。
（関連記事/ちなみに、転職サイトを運営している紹介会社って売上ノルマがあると思いますか？？）
そもそもの問題ですが、
仮に転職をしたとして、この求職者様が辞めずに60歳まで勤めたとして、6-7年。この期間で、満足いく退職金は手元に残るでしょうか？
上記のことを、ご本人にお伝えすると『やっぱり退職金はもらえたらラッキーぐらいに考えておいたほうがいいですよね』という考えになったようです。
ご本人にもお伝えしたのですが、
退職金を軸にした転職というのは、正直なかなか難しいかと思います。
今回ご相談いただいた看護師さんであれば、残りの年数も問題となります。また仮に20代の看護師さんでもあったとして、今後ご本人に起こるライフイベントの中で、20年‐30年も転職することなく同じ病院で勤めあげる可能性というのは、どれぐらいあるでしょうか？（関連記事/近くを見るのか、遠くを見るのか。看護師の転職に大事なのはピントでございます！）
そういった不確実性の先にある、いくらもらえるか不明な退職金を、どこまでアテにするか、ということも十分考慮しながら転職の方向性を考えることが必要なのではないでしょうか？
法人によって、退職金の計算方法な異なりますが、公務員扱いになるような一部の病院などで長年勤めあげない限り、退職金でガッポリというのは、ここ最近の転職事情を考えると、やや非現実なことなのかという印象であります。
医療業界に限った話ではなく、世界中で、これまでの価値観が変わり、働き方も多様化し、将来どうなるかということが、ますますわかりません。（関連記事/医療従事者だからこそ、有利に行える投資とは？）
だからこそ、ホントに大事なことを相談できるキャリアドバイザーが希少な存在になるのだと感じます。
（関連記事/信頼できるキャリアアドバイザーは、あなたの隣にいますか？）
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≪今回のコラム寄稿者≫
YU/SHERPA代表コンサルタント
自動車、IT、美容、金融業界のマーケティングに
精通し、29歳で医療系人材業界へ。その後、独立。
戦略的な提案で法人と個人から信頼を得る、
日本でもレアなMBA/FP保有キャリアアドバイザー。
一男一女を持ち、学生から既婚者の悩みに
共感できる、パンケーキ好きのアラサー。
お仕事のことでお悩みの看護師さん、
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